極めるコラム
【八街農場】コナジラミ類の発生周期と春の天敵利用について(ミニトマト)
2月に入りまだまだ寒い日が続くものの、日射に力強さを感じる季節となりました。
今年は低温になる日が多いですが天候は安定しており、
比較的作物が作りやすいように感じております。
皆様はいかがでしょうか。
今回はこの時期から発生が気になり始めるコナジラミ類について、
レポートさせていただきます。
コナジラミの特徴と対策
①日本国内では大きく分けて2種類、寒さには弱い
コナジラミ類はカメムシの仲間で、
国内ではオンシツコナジラミとタバココナジラミの2種類が存在します。
どちらも寄生した植物の養分を吸汁し、甘露(甘いべたべたした物質)を排出します。
多発すると甘露にスス病が発生して光合成を阻害する他、
果実の商品価値を著しく低下させます。
また、タバココナジラミはトマトの主要病害である黄化葉巻ウイルスを媒介します。
世代交代のサイクルが早く、
25℃の環境では卵から成虫になるまで21日程度かかります。
ただし、低温だと生育速度が低下しますので、
この時期は防除のチャンスでもあります。
コナジラミの生育日数は下記の計算式から求めることができます。
発育日数=発育有効積算温度÷(日平均気温-発育零点)
※発育有効積算温度=357日、発育零点=8.3℃
例えばハウス内の日平均気温が25℃の場合、
約21日=357℃÷(25℃-8.3℃)
※ただし、30℃以上ではコナジラミの死亡率が高くなります。
参考:京都大学農学部昆虫学研究室「昆虫の発育零点」
②内張りカーテンに注意
2月はまだ内張カーテンが役立つ季節のため、
下ろしっぱなしにしているケースがほとんどだと思います。
しかし、ここに落とし穴があります。
ハウスの外側と内張カーテンの間の空間に雑草が生えてはいませんか?
除草していないと本圃の作物に農薬散布する際、
逃げたコナジラミがここで生き続ける可能性があります。
そして、農薬耐性を保有する可能性が高くなります。
その為、圃場内はもちろん、内張カーテンの外側にある雑草にも注意を払い、
除草を行って下さい。
③天敵の導入時期
2月はまだ温度が低く、天敵導入に適していません。
比較的低温でも働くオンシツツヤコバチでも、
飛翔できる温度は17℃以上で生育適温は25℃前後です。
また、サバクツヤコバチは、高温向きで低温には不向きです。
この事から、げんき農場八街では、
定期的な散布を実施してコナジラミの頭数を減らしておき、
・オンシツツヤコバチ:3月中旬
・サバクツヤコバチ :4月中旬
の導入を、予定しています。
まとめ
来月、3月は温度が上昇し、いよいよ全ても生命が躍動し始めます。
この時期はトマトの光合成が盛んになり始めますので、
灌水方法を見直す時期でもあります。
次号では、春の灌水について、書かせて頂きます。