極めるコラム
【羽生農場】UV-Bを用いたうどんこ病対策
こんにちは、げんき農場です。
イチゴのシーズンも本番となってきました。
今年が豊作となるよう、気を引き締めていきたいですね。
さて、豊作とするためには病害虫対策が大切ですが、病害の中でも
うどんこ病は感染の広がりが早く、蔓延してしまえば多数のイチゴの商品価値がなくなり、
減収に直結する可能性があります。
げんき農場では、UV-Bを用いてうどんこ病対策を行っておりますので、
今回はうどんこ病とUV-Bについて紹介します。
■うどんこ病
イチゴうどんこ病は、病原菌のSphaerotheca aphanisにより発病します。
他の多くの病原菌は、水滴がないと胞子が成長できないのに対し、
うどんこ病菌は空気中の湿気だけでも胞子が成長し、イチゴに侵入します。
高湿度ほど多発生しますが、50%程度の比較的低い湿度でも発病します。
イチゴうどんこ病菌の発病適温は20℃で、遮光すると、胞子形成が促進されます。
葉、果実、葉柄、果梗などに発生します。果実に発病した場合は、
白粉状のカビで果実が覆われます。また、多発生すると防除が困難になるため、
イチゴ栽培における重大病害と言えます。
■UV-Bの活用
げんき農場では、UV-B電球形蛍光灯によってうどんこ病対策をしています。
仕組みとしては、葉への紫外線照射によりイチゴの免疫機能を活性化させ、
うどんこ病の発生を抑えます。
設置方法:
畝やベンチの上面から、120~150cmの高さに吊り下げて取り付けます。2.5~6.0m間隔
でUV-B同士の距離を取りますが、基本的にハウスの規格に合わせます。
げんき農場の間口8m×奥行32mのハウスには、
奥行・間口方向ともに4mスパン、ベンチ上1.2mで設置しています。
運用方法:
タイマーなどで時間設定し、基本的には毎日、夜間の3時間照射します(0:00~3:00など)。
多量の紫外線は人体に有害なので、ハウス内に人がいない時間帯にしましょう。
注意点:
うどんこ病がすでに発生している株に対する治療効果はありません。
また、葉の裏に隠れてしまった部分や、ベンチ栽培の場合は床まで伸びたランナーの先など、
照射距離から遠い部分は、UV-Bの効果が薄くなるためうどんこ病を抑制しにくいです。
したがって、うどんこ病を蔓延させないためにも、
葉かきやランナー取りといった管理作業は欠かせません。
また、冬場はイチゴの樹勢が弱まる時期なので、
UV-Bの照射により電照効果が少し表れることがあります。ランプ直下の株が徒長し、
同じ列の中で成長に差が出てしまいます。対策として、
げんき農場では11月中旬~2月下旬の冬場は照射時間を3時間から2.5時間に短くしています。
育苗期でもUV-Bを使用する場合もあると思います。ただ、苗に付与された免疫力の向上は
持続力がないとの研究結果(2023,宮城県農業・園芸総合研究所)がありますので、
本圃でうどんこ病を抑制するためには本圃でもUV-B照射を継続する必要があります。
■UV-Bの効果の実感
使用開始から4年目となりますが、うどんこ病が蔓延したことはありません!
発生した場合はその部位を撤去する程度に収まっています。農薬散布に関しても、
うどんこ病の治療薬は使用せず、広範囲の病原菌に対する予防薬を
殺虫剤の散布時に混ぜている程度です。
初期投資は必要でしたが、うどんこ病蔓延による損害を3年以上防げていることは事実なので、
コストパフォーマンスが優れていることを実感しています!
~さいごに~
うどんこ病対策の一つとして、UV-B導入を検討してみてはいかがでしょうか?
重大病害を徹底して対策することで、収益改善・向上に結び付けましょう!