極めるコラム

【渡辺パイプの営農通信】(トマト)八街編 Vol.3

 

4月の取り組み

 

 ・大玉トマトの栽培

トマトの品種数は現在、ミニトマト・中玉トマト・大玉トマトを合わせて8,000種類を超えるそうです。

げんき農場ではお客様のニーズに沿った品種選定を行っていますが、毎年「大玉トマトはないの??」と消費者の方からご質問いただきます。

そこで、この度、直売やEC販売が増加する中で大玉トマトを試験的に栽培することにしました。

 

げんき農場がこれまで大玉トマトを栽培しなかった理由は

・差別化がしにくい

・美味しく、形よく、安定的に作るのは難しい

(規格外品が出やすい)

・大玉用の選果機を導入するコストがかかる。

と、主に3つです。

 

栽培した品種は桃太郎はるか

裂果が少なく作りやすいと思いました。

但し、味での差別化は栽培にひと手間加えなければいけないですね。

 

このサイズ!!

 

1段目は概ね200~300g/個でした。

 

 

さて、げんき農場では20kgのミニトマトを収穫するのに平均1時間ほどかかります。

大玉トマトの場合、1コでミニトマト15粒分ほどの重量があるため20kgなんてすぐ採れてしまいます。

実際には傷や規格の仕分け時間やヘタの切り戻しがあるため単純計算にはなりませんが、収穫と選果の手間と単価を比べる必要があります。

また、収穫量の多い大玉トマトはB品も多くでますので、その販売先も考える必要はあり、今後の作付けを行うか検討をしていきます。

今後の事を考えると、房取りなど、手間のかからない品種を選択するのも一つの方法と考えています。

 

  • 4月の管理について

気温が上昇し、ハウス内では湿度と温度、どちらを優先に管理するかが悩みどころです。

げんき農場八街ではミストがついていないため、トマトの蒸散する湿度に頼ることになります。

葉面積(LAI)を増やすことが湿度維持対策になりますが、増枝をする場合は誘引や収穫の作業も増えることになりますので、各ハウスに合わせた管理が必要になります。

 

 

  • 実験・お役立ち情報

気温が高くなると水分と窒素の吸収量が増え、窒素過多な草姿になります。

養液栽培では窒素の割合を抑えた組成にしますが、硝酸カルシウムや硝酸カリウムには窒素がセットになってしまいます。

そのため炭水化物の葉面散布を行い、窒素代謝を促します。

窒素と炭水化物を基にタンパク質が合成されますので、窒素過多を防ぎつつ生育にも良い影響を与えてくれます。

炭水化物の葉面散布として八街農場では酢酸カルシウムを散布しています。酢酸は分子が小さく葉面からでも吸収されやすく、カルシウムもこの時期は欠乏しやすいため良い組み合わせです。

※気温が高い・強日射下で散布すると薬害がでることがあるので注意しましょう。

 

茎が太く、葉が内側に巻いている場合は窒素過多が疑われます。

炭水化物を施用すると樹勢は良くなりますので着果させないと樹が暴れる原因になります。高温期や着果負担が少ない時期はホルモンで確実に着果させましょう。

その他

トスカーナバイオレットが豊作です。

この時期は着色が早く玉数も多いので葡萄のようになっています!!

色どり野菜としても人気です!!