極めるコラム
【羽生農場】今作のイチゴについて総括
こんにちは。げんき農場羽生です。
イチゴ農家の皆様の多くは栽培終了されたと思われますが、今作の栽培はいかがでしたか?
げんき農場でも、6月上旬にイチゴ栽培を終了いたしました。
今作の収量に関しては前作にやや及びませんでしたが、
売上においては1,000万円/反を達成し、前作よりも高単価での販売を実現できました。
高単価販売を実現できた要因は
①高級品種「あまりん」の導入
②消費者との繋がりを強化
だと思います。
この振り返りが、営農の戦略やビジョンを描くための参考になれば幸いです。
■栽培についての振り返り
・栽培暦
今作の収量減の原因は2つ考えられます。
1つ目は、残暑の影響による10月の花芽分化の遅れです。
その後は、イチゴの生育環境を最適化できるよう、厳寒期は天窓換気の細かな調整、
早期加温といった環境制御を行うことで、遅れによる影響が小さくなるよう、努力しました。
2つ目は、品種特性です。
今作初めて栽培した埼玉県のオリジナル品種「あまりん」は、
多収量の「かおり野」の6割程度と、最も少ない収量となりました。
全体的な収量ダウンはこの品種の特性も要因と考えられます。
・収量
しかし、収量が少ないことは必ずしもマイナス要素にはなりません。
「あまりん」の場合、手入れの作業時間を短縮でき、
なおかつ高単価販売もできる優れた品種と言えます。
例えば、他品種に比べて樹勢が控えめで、
花数が少ないため、摘花をせずとも品質を保てるといったメリットがあります。
また、「第一回全国いちご選手権」では最高金賞を獲得した品種で
希少価値も高いため、高単価での販売も見込めます。
■収支についての振り返り
・コストについて
水道光熱費は、暖房に必要な重油が全体の6割を占めました。
イチゴを育てるためには温度の制約が多く、暖房費が多くかかってしまいます。
例えば、休眠を防ぐためにハウス内最低温度を5℃以上とすること、
樹勢維持のため培地温を15℃確保すること、光合成適温の20~25℃を維持することなどです。
加えて今作は、燃料費の高騰が6~10%もあり厳しいコスト増となりました。
・売上について
前作からの変化で注目したいのは、ECサイトの縮小と、地元スーパー・キッチンカーの拡充です。
ECサイトは、インターネット上で消費者と接触する絶好のプラットフォームです。
しかし、ゆくゆくは競争の激化や広告費・物流費の上昇が課題になると予想しています。
経営上、売上先を分散して安定させたいという意図もあり、
地元スーパーの地産コーナー比率を増やしました。
消費者は地元産の農産物を支持する傾向があり、
自分の地域で生産された新鮮なイチゴに興味を持っています。
スーパーの地産コーナーでは、そういった方へ直接アピールすることができます。
また、消費者だけでなく担当チーフから売場の声を直接聞き、
需要や嗜好の変化に迅速に対応することもできました。
「売場に並んだ数が少ないと、売れ残りに見えてしまう」との意見をいただき
出荷数を3倍にした結果、売上数も普段の4倍以上になりました。
さらに、この販売方法では、農場の価値を高める効果もあります。
先ほどの「あまりん」は特に、出品によってブランド向上の一翼を担ってくれました。
そしてキッチンカーでは本来需要のない小粒イチゴや形の悪いイチゴを冷凍して、
スムージーなどに加工して販売しています。
農場の認知度やイチゴの付加価値向上を目指し取り組んだことで、
売上ロスの削減とともに、新たな市場やファンとの繋がりができました。
■今作について総評
今後も、新たなビジネスチャンスを探求し続けることが大切だと感じています。
経営者としては難しい判断ばかりですが、時代の変化や消費者のニーズの変動に柔軟に対応し、
これまで実施してきた戦略を見直すことが、より一層の経営発展への第一歩となるかもしれません。
ここで得た情報をぜひ活用してみてください!
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