農業を学ぶ旅

10月12日 岩手県盛岡市 石川園芸もりおかを見学

大規模高軒高温室によるユリの周年安定生産で収量倍増を目指す
ユリ栽培の最前線で活躍する岩手県(有)石川園芸もりおか

 

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農業を学ぶ旅 終了レポート

 

2018年10月12日(金)に開催しましたモデル農場見学会の様子をお伝えいたします。

農場概要

  • (有)石川園芸もりおか (農場No.2018-04)
  • 代表:石川 正樹氏
  • 場所:岩手県盛岡市
  • 圃場面積:合計1.19ha (内、ハウス1.19ha)
  • こだわり栽培で高収量&高収益。省力化とコスト削減を実現した大規模施設の環境コントロール技術とは
  • 従業員:6名

 

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見学会の様子

ユリ栽培へ転換したきっかけとこれまでの経緯について

1994年に30坪の土地でユリ生産を開始。露地とパイプハウスでの栽培を組み合わせながら生産数を伸ばし、2002年に1,600坪のダッチライト型温室を新設。四季それぞれに適した品種を栽培し、安定した周年生産に成功されました。2017年には2,000坪のダッチライト型温室を増設。換気効率が良く、夏場涼しいダッチライト型温室に加え、冬はヒートポンプと暖房機のハイブリッド運転で重油経費を大幅に削減するなど、省エネ・省コストの栽培管理に取り組み、収益を大きく伸ばされています。

 

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合計3,600坪の大規模生産高品質なユリの周年生産を展開

大規模ハウスを建設し高品質なユリの周年生産に取り組まれています。「大きな容積のハウスの中に、たっぷりと光をいれることで強い花が育つ」と、ダッチライト型温室の特徴を活かした栽培管理で、高収量の周年生産に成功されています。

 

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大雨・台風・酷暑との闘い。強いハウスで安心の栽省エネ・省コストの栽培管理でさらなる収益拡大を目指す

換気効率の良い高軒高ハウスに加え、夏は「細霧冷房」と灌水を自動化することで省力化を実現。冬はヒートポンプと暖房機を併用したハイブリッド運転により、重油経費を約 50%削減することに成功されています。設定温度はヒートポンプ15℃、カオンキ13℃に設定、ハウス内カーテンも3軸3層とし、1・2層は保温カーテン、3層目は遮光・保温を兼ねたカーテンを使用、側面も3層にする事で保温効果を高めています。それにより安定生産に加え、コスト削減されることで収益が大きく向上しています。

 

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常にハウス内環境をモニタリングし品質の均一化・安定化に活用

環境制御盤のモニタリング機能を活用し、常にハウス内の温湿度データをチェックすることで、奇形花の発生低減に役立てています。自宅とハウスが10km離れているので、ハウスに行かなくてもハウス内環境データを確認出来る事は大きなメリットです。以前は温度異常などの警報装置しかつけていませんでしたが、環境制御盤のデータを見て次の温度設定の参考としたり、ユリの奇形花防止に活用しています。「自分に余裕ができれば、スタッフの指示や指導にも、もっと時間を割くことができる」と、さらなる省力化に取り組まれています。

 

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灌水方法と除塩による土づくり

灌水は基本は1日1回頭上灌水で朝のみ、夏だけ朝と晩2回実施しています。灌水制御盤による自動制御ですが、作物の状況やハウス内の環境により、手動で灌水回数を増やしたり、減らしたり臨機応変に対応しています。原水について夏は畑間の水を利用して、冬は100トンの地下埋設タンクに雨水を溜め使用しています。きれいな水ではないため、頻繁にフィルター洗浄が必要でしたが、今回増設した灌水設備には自動フィルター洗浄機能が搭載されており、省力化につながっています。灌水制御、フィルター洗浄、細霧冷房による薬剤散布によりかなり省力化がなされています。また、夏に年一回ハウス内湛水による除塩を実施。ハウス内に水を張り、湛水して約3週間放置。除塩だけでなく土壌病害の発生抑制にも効果を発揮。平成14年から行っており、それ以降土壌病害は発生していません。土づくりは堆肥を入れてしっかりと行い、排水をよくするように暗渠パイプを地中に埋め、土壌水分をコントロールしています。

 

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講演会『高軒高温室とハウス内設備の一体化によるユリの周年安定栽培について』

石川園芸もりおかの今後の事業展開について

リンゴ農家に生まれ、将来リンゴを栽培しようと考えていましたが、幼少のころから台風などの被害を目の当たりにしてきたことから、施設栽培でのユリ栽培に着目し、作物の転換を行いました。花は野菜より少ない市場で戦っていかなければならない事から、販路の開拓が非常に重要です。今後の展開として直販に近い形の取引に力を入れたいと考え、取り組んでいましたが、通常の直販だと登録の手間、出荷の手間が非常に多く、直販を増やす事は難しいと考えていました。しかし、直販でネックとなっていた個別出荷のわずらわしさを取り払い、物流センターへ出荷する事で出荷した花の写真の登録やお花屋さんへの個別配送が可能な会社に注目し、現在取引を増やしていっています。そのため、手間をかけずに高単価での出荷が可能となり、経営が安定する要因になっています。流通もそうですが、制御盤を利用した環境制御も含め、ITの技術を積極的に取り入れ、新しいことにチャレンジする事でより効率的で儲かる農業を実践していきたいと考えています。

 

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参加者の皆様からのご感想

30代男性

高軒高温室での経営を考えており、必要設備の選定や考え方等、大変勉強になりました。特に水対策で圃場地下に雨水を貯水する設備があると聞き、異常気象や自然災害が多発する昨今、そのような取り組みや設備が非常に重要になってくると実感でき、今後の参考となりました。

30代男性

率直に通常の平均単価より良い単価で取引されていると感じ、どのように付加価値をつけているのだろう、と興味深く話を聞かせて頂きました。販路に関しても、しっかりと検討し、どのような先に販売することが適切か、どのようにすれば付加価値を最大限に高められるかをしっかりと検討されていました。また、栽培されている作物の品質の高さにも驚きを隠せませんでした。高品質を実現するための土づくりの秘訣や栽培に関しても詳しく教えて頂き、大変勉強になりました。

当日のスケジュール

 

アセット 1-100

 

見学会の様子

 

 

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