農業を学ぶ旅

10月20日『家族経営から法人化による農業経営へ』常に満席の農家レストラン事業とこだわりの美味しい野菜を生産する宮城県のベジランド佐藤

2017-05 モデル農場見学会 宮城-01

農業を学ぶ旅 終了レポート

 

2017年10月20日(金)に開催しましたモデル農場見学会の様子をお伝えいたします。

 

農場概要

  • 株式会社 ベジランド佐藤 (農場No.2017-05)
  • 代表取締役:佐藤 純氏
  • 場所:宮城県仙台市
  • 圃場面積:合計6.0ha (内、ハウス1.1ha)
  • 有機質肥料で手間を惜しまず甘くて美味しい野菜を生産。みやぎ生協版GAP「安心くん」を取得し、自社で栽培した有機野菜をふんだんに使った直営農家レストラン「ひだまり」は連日満席。2014年に法人化し周年色とりどりの旬の野菜を多くの人にお届けしています。
  • 作業人員:16名(内パート11名)

 

 

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見学会の様子

トマト栽培におけるこだわりの土作りと栽培方法

この農場では土耕栽培にこだわり、堆肥や有機肥料を用いた土作りや生育段階や天候に応じた施肥灌水管理を行っています。そうすることで、糖度6以上の良食味のトマトができ、販売先でも好評です。また市街地近郊農業なので、周りにトマト栽培をしている農家が少なく、ウイルス病 TYLCV(黄化葉巻病)が発生しにくい為、耐病性品種を使わず、味にこだわった品種選定が出来るのも特徴となっています。また、ハウスはダッチライト型低コスト耐候性ハウスを使用し、軒高4mで遮光兼保温カーテンが1層、保温カーテンが2層、合わせて3層あり保温性を高め重油の消費を最低限に抑えています。

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栽培計画と販売戦略

ベジランド佐藤では多種多様な作物を栽培しており、計7種類の作物を生産しています。また、みやぎ生協独自のGAP「安心くん」を取得、その生産工程管理に基づき安心、安全な野菜を出荷しています。多種多様な作物を栽培する理由として「出荷先のみやぎ生協の売り場を年中充実させ、消費者の方がわくわくするような魅力ある売り場を作りたい」との思いがあります。またみやぎ生協と取組む「めぐみ野」は独自の農薬制限があり、栽培基準として3の条件。

①産地と生産者が明確であること(誰がどこで作ったかがわかること)

②生産方法と手段が明確であること(どのように作ったかがわかること)

③メンバーと生産者の交流がされていること(共通の思いの実現) が定められています

 

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6次産業化 農家レストラン 柳生旬彩「ひだまり」

直営レストラン柳生旬彩「ひだまり」は役員の一人である取締役相談役佐藤郁子さんが運営しています。自宅一階を改築したレストランには席数が30程ありますが、ほぼ平日昼間は満席で予約しないと食べられないほどの賑わいを見せています。中でもベジランド佐藤さんの新鮮な旬の野菜を用いたビュッフェ付きランチが大人気でその時々の旬な野菜に合わせて月ごとにメニューを変えています。また、農家レストラン内にも野菜の直販スペースも好評で、ランチ後のお客様が購入していきます。直売の年間売上は200万円程になります。

 

「ひだまり」にて懇親会

 

法人化するまでの歩みと法人化のメリット

10代続く野菜農家として生産、販売を行ってきた歴史があり、みやぎ生協と40年に渡る取引を行い、美味しさを追求した野菜生産や都市近郊農業の強みを活かした店舗への安定供給により高い評価を得てきた佐藤さん。現社長の佐藤純様への世代交代を機に経営の拡大、発展を目指し2014年法人化しました。法人設立に関しては、地域の普及センターや県担い手育成総合支援協議会による指導や専門家の派遣を受けた事で、円滑に手続きを進めることが出来ました。法人化したことで設備投資や規模拡大の為の補助事業を活用しやすく、また会社組織にした事で人材を確保しやすくなり、消費者に求められる安全・安心で美味しい野菜をより多くの人に届けられる体制を整えることが出来ました。

 

規模拡大に伴う施設設備

 

 

講演会『規模拡大と法人化そしておいしいと言われる野菜を目指して』

ベジランド佐藤様の経営と今後の事業展開について

「めぐみ野」野菜は県内のスーパー7箇所に売り場を持っていますが、全店舗には安定して供給できておらず、生産者が減り生産物の量が減ってきているのが現状です。今後メインコーナーをさらに充実させ、わくわくさせる売り場を作るには、もっと生産物を増やす必要があります。そのため、今後はまとまった土地を借り施設を増設、生産・販売の拡大を目指し、また同時に正社員を雇用、育成しながら法人としての組織体制を強化し売上増加を目指したいと考えています。大事なのは「作る側の考えだけでなく、食べる側の考えをより尊重し、耳を傾け消費者の求める物を生産する」事が重要です。生協ではお客様の声を聞くことが出来るため、消費者の方との交流の場をとても大切にしています。その中で現在食べやすいサイズの野菜が求められています。トマトも中玉を選んで栽培しているのは消費者のニーズが食べやすいサイズを求めていたからです。今後カット野菜などの加工事業や耕作放棄地を減らすための取組みを行い、地域に貢献できる会社を目指したいと今後の思いを語って頂きました。

 

講演会の様子

 

参加者の皆様からのお言葉

30代男性

自分の地域のトマト生産現場は視察などで回ることが多いですが、他地域のトマト現場を実際に見て、相談することができ、とても新鮮で新たな発見がありました。ベジランド佐藤様の今後の取り組みなど、感銘を受けることも多く、今後の経営に活かして生きたいと思います。

30代女性

私は都市より離れたところで営農していますので、仙台駅から30分圏内という都市近郊での営農での利点や問題などを勉強させて頂き、改めて都市から離れたところの利点や問題点等を考えることが出来ました。こちらで学んだことを自分が作る農産物の価値を高めることができる様に取組んでいきます。

30代男性

自分が作ったものにいかに付加価値をつけるかの重要性、特にお話にあった「作る側の考えよりも食べる側の考えが重要」という言葉が印象に残っています。どうしても栽培だけを行っていると作るほうに意識が向いてしまい、消費者の考えを感じ取る、といった基本的なことがおろそかになっていた気がしましたので、今回の研修で初心にかえり、ものづくりの基本、消費者のための良い品物を作っていきたいと思います。

30代男性

自分の生産物からの飲食店への発展を考えていたためとても参考になりました。また、トマトの連作障害を出さない方法など現場の生の声を聞くことができ、6次産業化に対する考えから圃場での栽培方法、法人化のプロセスなど多岐にわたり勉強することができました。本当に濃密な時間を過ごさせて頂きありがとうございました。

当日のスケジュール

 

スケジュール

 

見学会の様子

 

レストラン「ひだまり」にて集合写真

 

 

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