農業を学ぶ旅

9月29日 8.2haの施設で14回転/年のベビーリーフ、高糖度トマトそして有機水耕レタスを栽培し年間9億円を売り上げる熊本の(有)ベジタブル・ユー

2017-04 モデル農場見学会 熊本-001

  • モデル見学農場
    No.2017-04

農業を学ぶ旅 終了レポート

 

2017年9月29日(金)に開催しましたモデル農場見学会の様子をお伝えいたします。

 

農場概要

  • 株式会社 ベジタブル・ユー (農場No.2017-04)
  • 代表取締役:小原 弘一氏
  • 場所:熊本県熊本市
  • 圃場面積:合計6.2ha (内、ハウス6.2ha)
  • 施設規模6.2haで20年間連作障害無し。土作りにこだわりベビーリーフで年間14回転を可能に!トマト栽培でも有機質液肥や酵素を与えることで17~18t/10aの収量を確保、水耕栽培での単純作業、高効率化を障碍者雇用に活かした経営手法が特徴的です!
  • 作業人員:48名(内障碍を持つ若者10名、外国人研修生18名)

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見学会の様子

ベビーリーフ栽培におけるこだわりの土作り

この農場では年間14回転(通常は10回転程度)で株の揃いも均一で均質に育てられていて、8種類程度の品種を1ハウスごとに1品種ずつ生産しています。通常の栽培では2~3年で連作障害が発生しますが、ベジタブル・ユー様では20年間連作障害無し!そのカギを握るのは土作りで、小原さんはいろいろな人たちの土作りを聞きに行き、徹底的に研究した結果、自然素材を原料にし、特殊な複合菌を利用して土中の微生物の活性化を図る方法にたどりつきました。この考えを基に独自の土作りの基本部分を確立し、最初に土を耕してから化学肥料は一切与えず有機肥料のみで、灌水も最初の一回のみです。また農薬も夏場の一時期を除いて基本的には使用しない方法で栽培を行っています。

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ベビーリーフの販売戦略

ベビーリーフは作ったからといって売れる野菜ではなく、市場でキャパはあるものの売先によっては価格がつかない場合もあります。小原さんのベビーリーフの販売先は九州全域と関西圏で地元市場(相対取引)と半分は生協にて販売しています。生協の品質基準は厳しくJGAPに準じ、作物に対して農薬の抜き打ち検査等が行われています。また、収穫は全て手作業で、葉の状態が良い夕方に行われます。ベビーリーフが光合成して光合成産物を根などに転流する前の日没から行うことでより栄養価が高いベビーリーフを出荷し他との差別化を図っています。

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有機肥料を使った袋培地栽培のトマト

培地に有機肥料と酵素を混ぜたものを添加しています。通常高収量のトマトの場合は平均30トン/反で、平均単価200円/kg程度で売上が600万円/反(平均糖度は5°前後)ですが、ベジタブル・ユー様では収量17~18トン/反です。平均単価480円/kgで取引され、売上800~860万円/反(平均糖度は7~8°)、通常より高単価の取引。出荷先の生協組合員さんから甘くて味が濃いと好評で、有機質肥料を用いて品質にこだわった栽培を行っています。

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水耕栽培レタスで障碍者雇用を促進

栽培品種はリーフレタスで、2年ほど前からサラノバ系のレタスに変更し売れ行きが増加しました。サラノバ系レタスとはレタス株の枚数を増やし葉の1枚1枚を小さく、かつ大きさをそろえることを目標に品種改良を行い誕生した画期的なレタスで、沢山の葉がつき、花のように見えます。また、水耕栽培で珍しく養液に有機肥料と微生物を添加。通常の水耕栽培レタスと比較し、食味が増し歯ごたえと香りが強いのが特徴です。この水耕栽培施設は障碍者や高齢者の就労先確保のために建設しました。農業の作業強度の低下を図り障碍を持つ人達でも農業で充実した生活を送れるようになることを目指しています。

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講演会『連作障害の出ない土づくりとベジタブル・ユーの経営及び今後の事業展開』

ベビーリーフ栽培における土作りのこだわりについて

土作りがすべて…「良い土壌が良い作物を作るという考え方で、微生物菌の餌になる物質や土壌ミネラルの吸収促進などを研究し、土壌殺菌せずに年間13~15回転の連作を可能にしています。また生育についても、ベビーリーフの生育が均一になり、肥料に頼らず栽培を行うため葉が淡い緑色に育っています。化学肥料は一切使用せず、有機系肥料、微生物資材のみ使用。更に有機系肥料の中でも一般的に使われる牛糞や鶏糞など家畜糞尿堆肥は、サルモネラや大腸菌などの菌が付着するリスクが高くなるので一切使用しないようにしています。

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ベジタブル・ユーの経営と今後の事業展開について

事業が軌道に乗るまでは試行錯誤の連続で日々勉強を欠かさなかった小原社長、いかに消費者目線に立って自社の商品に付加価値をつけ、市場価格に左右されないようにするか、その中で地域、社会に貢献できることは何か、をしっかりと考え経営されています。現在9億円まで売上を伸ばしているベジタブル・ユーの小原社長。社員の方へも農作業の1次産業でつらい分しっかり稼げるようにしたい、との思いもあり、高時給で対応されています。障碍者雇用にも積極的に取組まれている小原社長。今後はグループホームなどを作り、障碍者や高齢者の仕事の確保とサポートをしていきたいと展望を語って頂きました。

ベジ

 

参加者の皆様からのお言葉

30代男性

私も法人化に向けての目標があり、今回の研修会を通じて経営に対する考えや思いを肌で感じる事ができ、参加して良かったと思っています。自農園でもより良くしていけるようこれからも頑張りたいと思います。

30代男性

栽培方法を見せて頂き大変参考になりました。また、改めて自分がやらなければならないことや後に残さないといけないことをとても考えされられた1日でした。今日学んだことをこれからの人生に活かしていきたいと思います。

30代男性

今から事業拡大をして行く中で、社長からお話頂いた費用対効果についての話に非常に共感し、ただ規模を拡大するだけでなく、しっかりとお金を投資しなければならないところ、節約しないといけないところを見極め、利益創出して行かなければならないと改めて考えさせられる研修でした。ありがとうございます。

60代男性

微生物の利用にとても興味があったため、実践した内容や結果など見聞きできて大変勉強になりました。

30代男性

栽培だけでなく、雇用への取組みや社会貢献のお話がとても面白かったです。しっかりと利益を残しつつ社会貢献活動をすることはとても難しいと感じます。その中で自分がやれる事を考えながら今後の活動に繋げて行きます。本当にありがとうございました。

当日のスケジュール

図1

 

 

見学会の様子

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