農業を学ぶ旅
9月15日 農園直営レストランを経営する㈱カネイファームと周年ミニトマト栽培で高収量を上げる徳島のヴェリタス㈱
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農業を学ぶ旅 終了レポート
2017年9月15日(金)に開催しましたモデル農場見学会の様子をお伝えいたします。
農場概要
- 株式会社 カネイファーム (農場No.2017-03)
- 代表取締役:矢野 正英氏 取締役専務:矢野 望美氏
- 場所:徳島県板野郡
- 圃場面積:合計1.4ha (内、ハウス1.4ha)
- 養液栽培に目をつけ多品目葉菜類周年栽培と新鮮野菜を使った農園直営レストラン「アクリエ」を運営。国際認証GLOBAL G.A.Pを取得し自社で生産、流通まで行いパッキングセンターによる効率化、レストランデザイン及び包装デザインにもこだわり魅力ある農業を実践しています。
- 作業人員:60名(社員8名、パート37名、レストラン15名)
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見学会の様子
国際認証 GLOBAL G.A.P 取得農場(平成28年11月取得)
海外(カンボジア)に農場を建設する計画があり、グローバルギャップ取得が必須なため検討していましたが、まずは日本の農場で取得すべきと考え平成28年11月に取得。取得後のメリットは、同地域や他地域の水耕栽培のレタスと比べ、グローバルギャップ取得農場で生産工程管理による品質維持がきちんと行われている農場であることをアピール出来ることで出荷先にも対して信頼が得られ、優位に取引を進めることができます。50件ほどの生産者を集め、菜々屋という販売専門の会社を運営し、100件以上の販売先と契約。物流費含めお互いに納得した取引価格になるよう交渉されています。
パッキングセンターで業務効率化
レタスの1日あたり生産量は5000~8000袋です。パッキングセンターを作るまではハウス内の調整場で行っていましたが、面積拡大に伴いレタス生産量が増加したので、業務の効率化の為にもパッキングセンターを建設しました。出荷先ごとにパッキングの袋を変えています(例えば、透明袋は産直販売所用など)。パッキングのデザインもプロのデザイナーに依頼、プロがデザインするパッケージに変えたことで販売量が1.5倍になったとの事。葉菜類のパッケージは販売量を増やすために非常に重要なポイントの一つです。
6次化への取組み”旬感ダイニング アクリエ”
農園直営レストラン“旬感ダイニング アクリエ”を経営。アクア(水)+クリエート(創る)+アトリエを合わせた造語でできたのがアクリエという言葉です。新鮮な水耕野菜を一年中食べる事ができ、四季折々の旬な魚や肉料理を使ったメイン料理も魅力。落ち着いた雰囲気の店内は女性客が多く、特にお昼のランチには駐車場が満車になる程。地元の特産品“藍”その食用藍を使ったコース料理が人気。食用藍は自社の農場で栽培。ここ徳島県藍住町は藍の産地で、その名産品を取り入れ、地産地消に取組まれています。
矢野氏講演会『水耕栽培による周年野菜栽培と6次産業化、今後の事業展開』
懇談会は農園直営レストラン“旬感ダイニング アクリエ”内で実施、個室の落ち着いた雰囲気の中、法人化の経緯や従業員の方の育成方法、販路確保の方法などを詳しく説明頂き、参加者の方からの多数のご質問にしっかり答えて頂きました。
株式会社カネイファームの成り立ちについて
創業は今から12年前、1号のハウスにて2000㎡のハウスを建設しました。前職は企業に勤めており、経営的な農業を実践したいとの思いが強く、親の代では果樹栽培をしていましたが水耕栽培で経営して行くことを決意されました。当時は水耕栽培がそこまで普及していなかった為、周りの栽培指導担当者からはまずは土耕栽培からやった方が良い、うまくいかないといわれていましたが矢野さんの強い思いで水耕栽培を導入、わずか12年で年商2億2千万円まで売上を伸ばされています。ハウス延べ面積は14,000㎡、補助金をまったく使わず借入金のみで施設を建設し、経営されているので驚きが隠せません。
人材育成について
25歳という若さでマネージャーを勤められる加戸様、20歳で株式会社カネイファームへ入社され、今では矢野社長から絶大な信頼を得てハウス運営、人事育成、段取り等を任されています。経営についてしっかりと考え、自発的に人材確保や育成に取り組まれています。現在では約60名近くの従業員を抱えるカネイファーム様、矢野社長が営業で販売契約を取って来た分は責任を持って生産しています。その為に何が必要か考え行動に移す事が大切とお話頂きました。
参加者の皆様からのお言葉
20代男性
すごい規模感、スピード感を持ってアクティブに動いている姿を見ることが出来刺激になりました。学んだ事を持ち帰り、自分の農業経営のプラスにしたいと感じました。
30代男性
人材管理から設備まですばらしい農場を見せて頂きありがとうございました。鳥取でも学んだ事を伝え、鳥取農業の発展に役立てたいと思います。
30代男性
私もスタッフの方と仕事をして行く上で、カネイファーム様のスタッフの育て方が大変参考になりました。
40代男性
私も小規模でトマト栽培をしていますが、大規模な農場を見学できとても参考になりました。今は家族経営ですが、人を雇いより若い世代の魅力ある働き口の受皿として経営体を大きくしていきたいと思っているので、ここで学んだことを役立てたいと思います。
農場概要
- ヴェリタス株式会社
- 代表取締役:井口 賀夫氏
- 場所:徳島県阿波市
- 圃場面積:合計1.8ha (内、ハウス1.8ha)
- 12棟の点在するハウス(合計1.8ha)を管理、まとまったハウスは2反ほどで100坪前後のハウスは主に栽培試験用として活用。多品種多品目の果菜類を栽培しており、栽培方法も養液土耕栽培、ヤシガラ培地など数種類あり、それぞれ試験栽培を実施しています。
- 従業員:8名(研修生6名、パート2名)
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農場概要
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夏越しミニトマト栽培
ハウスが点在しており、個別管理に手間がかかっていたこと、複数棟に分かれているものの、ハウス内のデータ分析が重要であること、この2点を改善するためハウス内環境を通信で遠隔監視や操作ができる環境制御盤ウルトラエースH2を導入。この機器にはモニタリングと遠隔操作、制御機能がついており、低価格なのが魅力です。従来の勘に頼った管理ではなく、データでの推移を確認し、それに基づく栽培管理を行うことが収量に大きく結びついています。自動灌水制御盤ウルトラエースKを同時活用することでより作物に効果のある環境管理を目指しています。
点在するハウスの管理方法
12箇所の点在するハウスを管理するのは至難の業で、全てのハウスを回るのに車で1時間ほどかかってしまいます。1.8ha 12箇所にもわたるハウスを、研修生がエリア毎にそれぞれ責任を持って管理しています、調整の方法や段取りの指示は井口社長が行いますが、管理、調整作業は海外研修生が実施し成長点、着果位置がそろっており、それぞれに手入れが行き届いています。土耕栽培で30t/反を越える成績も納得です。
収量の実績、販売計画
大玉トマト30t/反、中玉トマトで18~20t/反、ミニトマトで13~15t/反の実績があります。トマト類はどれも反当り売上1,000万を目標としており、実質それに近い売上となっています。出荷先(生協)と上手に付き合って行くためにトマトだけでなく多品目を栽培する必要があり、売り場作りの意味も込めて多品目栽培を行っています。栽培で心がけていることは土作りです。有機質肥料を入れてよく耕すことがポイントで、追肥は養液土耕用肥料+独自の有機配合肥料を施肥しています。
参加者の皆様からのお言葉
30代男性
普段は自分の産地のやり方しかみてなかったがハウスを増やして行く手法や、やり方がとても勉強になりました。
30代男性
私も点在するハウスをもっているのでその中で管理方法や設備など、とても興味深く見学させて頂きました。学んだことを活かして実践したいと思います。
30代男性
私もスタッフの方と仕事をして行く上で、カネイファーム様のスタッフの育て方が大変参考になりました。
20代男性
様々なハウスの栽培方法を見せて頂きとても参考になりました。見学しただけでなく、持ち帰って自分で試して、成果を残さないと意味がないと思うので、良い報告ができる様に頑張ります。
「アグリカルチャークラブ」は、ハウス内制御盤「ウルトラエース」のユーザー様のために、農業のフィールドで「学ぶ」「つながる」「実践する」の良い循環をつくり、営農家のみなさまに、さらなる安心と、成長、そして高収益の機会を提供する会員制サービスです。
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ウルトラエースのご紹介
農業をもっとスマートに。
ハウス内の環境を可視化。さらに自動制御機能により農家の皆さまの仕事量を減らし、もっと効率よく営農にとりくめるよう生み出されたのが「ウルトラエース」です。