極めるコラム
【羽生農場】育苗管理と長期栽培について(イチゴ)
こんにちは、げんき農場羽生です。5月も終盤に差し掛かり、日差しが強まってきました。
ハウス内も暑さが増してきていますが、6月上旬までイチゴの栽培を続ける予定です。
これから迎える夏に向けて、一層の活動を展開していきます!
さて、今回はこれからの時期の育苗管理と長期栽培についてご紹介します。
■育苗の管理
・ランナーの確保
現在、げんき農場の育苗ハウスでは、冬に定植した親株から多くのランナーが出ていますが、
一昨年においては親株の定植が4月中旬と遅かったため、十分な苗を確保できませんでした。
その反省を活かし、今年は親株を大きく育てることで、太いランナーを十分に確保していきます。
・育苗準備
7月から8月にかけての猛暑では、ハウス内での作業は熱中症の危険と隣り合わせで、
作業効率も低下しやすいです。ランナー押さえが遅れると本圃定植時の株の大きさ、
すなわち初期生育と収量に大きな影響を与えます。効率よく大きな苗を生産するため、
今年もカタツムリポットを利用した挿し苗育苗を中心に行います。
挿し苗育苗の期間は90日が良いとされていますので、6月中旬にランナーを切り取って袋に入れ、
萎れないうちに冷蔵庫に保管します。数日後、冷蔵庫内で発根したランナーを挿して育苗します。
挿し苗育苗の難所は、活着率の低さです。げんき農場では活着率を上げるために、
ハウスの屋根の上から90%遮光ネットを張っています。
また、苗挿し後3~5日間は葉に水をかけて蒸散を抑え早く発根させることも活着率を上げるポイントです。
■イチゴの長期栽培
イチゴ栽培では多くの場合、5月上旬(ゴールデンウィーク後)や5月いっぱいで収穫を終えます。
しかし、げんき農場では6月下旬まで収穫していたこともあります。
そのような時期まで栽培を続ける場合、以下の3点に配慮する必要があります。
1.発生サイクルの早くなる害虫(ハダニ・アザミウマ)への対策
2.うどんこ病や灰色かび病などの病害対策
3.高温対策
1.発生サイクルの早くなる害虫(ハダニ・アザミウマ)への対策
栽培害虫の予防には、早期発見と迅速な防除が一番です。
げんき農場で栽培している品種の中で花粉量の多い「かおり野」は、アザミウマが飛来しやすい品種です。
防除が遅れると多くの果実に被害が出てしまうので、この時期は特に花の中をしっかりと目視確認しましょう。
2.うどんこ病や灰色かび病などの病害対策
病害対策として行っているのは、UV-Bによるうどんこ病対策です。
葉かきが遅れると、一部にUVが十分に当たらず、うどんこ病が発生することがあります。
また灰色かび病は多湿環境で発生しやすく、葉の展開速度が速くなる春以降に茂った葉や、
ベンチに放置された果実に発生することがあります。
いつ液(葉先から出る水滴)が発生した際には早めに乾かせるよう、
ハウス内の暖房機や循環扇を使って除湿しましょう。
また葉かきを定期的に行い、ベンチの通気性を保つことがとても重要です。
3.高温対策
春~初夏にかけてはハウス内温度をできるだけ下げつつ、
遮光カーテンで高温を防いでいます(晴天日の午後に遮光)。
温室内の日平均気温が25℃を超えると花芽分化が進まないためです。
ちなみに、花芽分化が止まる温度は品種によって異なります。実際、げんき農場で栽培している品種のうち、
特に「紅ほっぺ」と「よつぼし」の花数が減少しています。
~さいごに~
以上のような対策をとることで、現在もイチゴの収穫を行っています。
出荷先のスーパーでは市場流通のイチゴがほとんど入荷されなくなりました。
げんき農場のイチゴは出荷し続けているので、売り場を確保することができています。売れ行きは好調です!
苗の管理や次の作物の準備など大変な季節ですが、ぜひ長期栽培に挑戦してみませんか?