極めるコラム
【羽生農場】 イチゴの花芽分化ついて(イチゴ)
皆さんこんにちは。
げんき農場羽生農場では残暑にも負けず、育苗を進めています。
イチゴの育苗をされている方は、今年の苗づくりはいかがでしょうか?
イチゴの苗づくりは他作物よりも苗の出来で、冬場の収量に関わると思います。
特に定植する苗が『花芽分化』しているかどうかが重要なポイントになってきます。
そこで今回は、定植を9月に控えている皆さんに、花芽分化の発生条件についてご紹介します。
■イチゴ(一季成り性品種)の花芽分化の条件
①光周期反応(日長反応)・・・長日植物と短日植物に分類されますが、イチゴは短日植物。
日が短くなる(夜が長くなる)頃に花をつけます。
この際、光を受容するのは葉の部分になります。
②温度(気温)・・・イチゴは低温条件で花芽が形成されます。
特に温度感受性の高い生長点はクラウン内部にあるため、
局所温度制御はクラウン部付近が有効です。
③窒素濃度・・・低窒素栄養条件で、栄養生長から生殖生長に傾く。
①光周期反応(日長反応)条件
イチゴが花芽分化をする日長時間(限界日長)は約13時間以下と言われています。
13時間以下になる時期 → 8月31日(埼玉県の日の出から日の入りまで)
②温度(気温)条件
①②から限界日長である13時間以下、かつ低温(平均温度25℃以下)になるのは
埼玉県の場合9月7日前後になります。
※ただし昼間の温度が30℃以上の高温の場合、花芽分化の遅れや未分化発生することもある。
これよりも早い時期に花芽分化を誘導させるには、夜冷処理をしたり、
体内窒素濃度を低下させる必要があります。
げんき農場では窒素濃度の調整で花芽分化を早める試みをしています。
③窒素濃度条件
高窒素栄養条件・・・栄養生長 > 生殖生長 → 栄養生長により株が生長
低窒素栄養条件・・・栄養生長 < 生殖生長 → 生殖生長により花芽分化
給液の窒素濃度をコントロールして、花芽分化を誘導します。
■花芽の検鏡
上記の条件で花芽が誘導されますが、必ず花芽検鏡は行いましょう。
花芽の検鏡を行うには顕微鏡と技術が必要になります。
農林振興センターやJAで行ってくれる場合があるため相談するとよいでしょう。
また、花芽分化が確認された後、定植まで期間が空く場合は、必ず施肥をするようにしてください。
芯止まりの原因となってしまいます。
■まとめ
上記の花芽分化の条件を実現することができるかどうかで
単価の高いクリスマス時期にイチゴの出荷をすることが可能になります。
昨シーズンのげんき農場では未分化苗を定植してしまい、1番果の成りにばらつきが発生しました。
初期収量にも大きく関わりますので、必ず花芽の形成された苗を定植してください。
また8月下旬から9月の定植前は非常に繊細な管理が求められます。
定植の準備などで忙しくなる時期ですので、
病害虫の発生や栽培管理ミスにより苗にストレスをかけないよう注意してください。