極めるコラム
【八街農場】温度上昇期の作物管理(ミニトマト)
こんにちは。げんき農場 八街農場(ミニトマト、長段取り)です。
3月は日射量が増え、ハウス内温度が急激に上昇する時期です。
また三寒四温の言葉に代表されるように、日ごとの温度変化が大きい時期でもあります。
この時期にしっかり木を作ることで、その後の収量を飛躍的に伸ばす事の出来る季節でもあります。
ここをどのような管理をするかで、GW明けの高温に耐える事のできる木になるかが決まる時期でもあります。
3月の管理ポイント
高温期に萎れを出さない準備
4月下旬から5月後半の梅雨入りごろまで、萎れが出るという生産者も多いのではないでしょうか。
その為、遮光を乱用し、結果、木が細くなり、余計に遮光が必要となる悪循環に陥るケースを時々見かけます。
そして、問題が発生してからの対処は非常に難しくなります。
厳寒期から春になる時期に、しっかり準備しておくことが大切です。
①ピーク温度を下げる
暖かくなると、トマトの生育が徐々に旺盛になり始めますが、
ハウス内の温度上昇に任せて生育させると、節間が伸び、草勢が脆弱なります。
3月の高温になる日は、換気を十分に行い、ピーク温度を23℃程度に抑えます。
換気をすることで、湿度が下がり、一時的には光合成量は落ちますが、
乾燥させることで、夜間の多湿による灰色カビの対策にもなりますし、徒長対策にもなります。
②クイックドロップはやめる、もしくは遅い時間に
日中温度が上昇するので、作物は十分に温まり、光合成も活発化します。
この時、過度にクイックドロップを実施すると、呼吸量は抑えられるものの、
転流が妨げられ、生長点や根に十分に養分が送られず、生育をかえって遅らせる結果になります。
また、日の入りも遅くなるので、できるだけ光合成をたくさんさせる観点からも、
早い時間からのクイックドロップは奨励できません。
③早朝加温は厳寒期と同様に
3月は1日の温度差が大きな時期です。
当農場のある千葉県八街市では、明け方の最低温度が6℃前後、
日中は暑い日で25℃近くまで上がる日もあります。
この為、光合成効率を上げる為に、早朝加温をする必要があります。
また、光合成のみならず、日の出後の急激な温度上昇は、果実表面に結露を発生させるので、
結露対策としても、早朝加温はまだ必要と考えるべきです。
早朝加温は、1時間で1.5~2℃くらいの温度上昇の範囲で、
7時頃には16℃以上になる事を当農場では意識しています。
④日の出後の温度管理を綿密に
日の出後、数時間経過すると急激にハウス内の温度は上昇します。
特に8時過ぎから10時までの温度上昇が激しい為、
この時間帯は細かく換気設定を変えることで、急激な温度変化を防ぎます。
これを行う事で、急激な温度上昇による作物へのダメージを抑える事ができます。
⑤遮光カーテン利用は最終手段
ハウスの換気だけでは限界があり、23℃を大きく超える場合があります。
特に風センサーが付いているハウスでは、
強風時に換気が閉じてしまい、ハウス内が高温になる時があります。
しかし、そんな場合でも、できるだけ遮光カーテンを使わないようにしたいです。
遮光した環境では徒長の原因になり、その後、更に高温に対処できない状態になってしまうからです。
とはいえ、萎れが出る場合は、遮光をして、萎れを出さない管理が必要になります。
あくまで関東平野部での目安ですが、
3月の温度管理として、
7:00~10:00 17~19℃
11:00~17:00 22~23℃
17:00~3:00 12℃
3:00~4:00 13.5℃
4:00~6:00 15℃
6:00~7:00 16.5℃
を指標としてみて下さい。