極めるコラム

【羽生農場】花芽分化の確認と定植の準備(イチゴ)

こんにちは。げんき農場羽生です。

9月は定植作業を行う生産者の方も多いと思います。まさに1年のスタート。

ここで躓かない事が、成功のポイントと言っても過言ではありません。

今月は、再確認しておきたい管理ポイントをご紹介します。

 

9月の管理ポイント

 

花芽分化の確認

イチゴは低温短日条件で花芽分化を行いますが、近年は夏が暑くなり、いつまでも高温が続く為、花芽分化しづらくなっています。

一方で、ある程度の高温条件下でも花芽分化する品種も増えてきています。

とはいえ、花芽分化が行なわれていない苗を植えると、本圃で花芽を分化させる必要がある為、その分、収穫開始が遅れます。

これはクリスマス商戦をターゲットにされている生産者には、重大な問題です。

その為、事前に花芽検鏡を実施し、花芽分化が行なわれている事を確認しておくことが重要です。

花芽検鏡については、地域によって異なるかと思いますが、農林振興センターなどの公的機関に相談するとよいと思います。

検鏡により確認された花芽

検鏡により確認された花芽

粒剤の準備

イチゴの定植の際、粒剤の土壌混和をされる生産者も多いと思います。

げんき農場羽生では、アブラムシ類、コガネムシ幼虫、コナジラミの発生を抑える為、モスピラン粒剤の土壌混和を行う予定です。

粒剤を土壌混和する際、つい確認を忘れがちなのが、ミツバチやマルハナバチ、天敵への影響日数の把握です。

モスピラン粒剤の場合、マルハナバチで1~3日、ミツバチではほとんど影響がありません。しかし、天敵では14日程度の影響がある為、天敵導入までの期間、どのような薬剤を撒くかも含めて検討する必要があります。

収穫まで日があるので、強めの薬剤をチョイスしたいタイミングではありますが、天敵導入を考えるととても悩みどころです。

 

 マルチングは十分に気温が下がった時期に

 定植前にマルチングを実施し、株に泥跳ねさせない事で病気のリスクを減らせる。という話を聞いた事のある生産者の方も多いのではないでしょうか。私自身も以前はそのように考えていました。

また、早いマルチングは地温が確保できるため、株を肥大させる為には良い方法です。

しかし、近年は9月後半まで暑い日が続く傾向にあり、早いマルチングは培地が保温される事で、2番花以降の分化が遅れる事が指摘されています。

前述の花芽分化のところでも書きましたが、収穫開始が遅れると、その分、収入の減少にも繋がります。

平地、中山間地域では、十分に気温が下がってからのマルチングが良いでしょう。

 

病害虫の持ち込みに注意

イチゴの苗を本圃に持ち込む際は、病害虫を持ち込まないように注意する事が重要です。

イチゴの病害虫の持ち込み防止の方法の一つとして、二酸化炭素くん蒸法があります。

実施方法としては、密閉空間に苗を並べ、液化炭酸ガスを60%以上の濃度で充満させ、24時間キープします。農薬に頼らず、95%以上の害虫が死滅しますが、液化炭酸ガスのランニングコスト、くん蒸設備のイニシャルコストを考えると、出来るだけ多くの苗を同時に処理する事で、コストを下げる必要があります。

また、より簡素に病害虫を持ち込みしない方法として、げんき農場羽生では、サフオイルのドブ付け処理を実施予定です。サフオイルは害虫の気門の封鎖を行い、死滅させる効果があります。

二酸化炭素くん蒸の様子

二酸化炭素くん蒸の様子

 

 

8月の振り返り

 太陽熱消毒の実施

梅雨が明けた直後から約1週間にわたり、栽培設備の太陽熱消毒を実施しました。

培地温50℃以上3日間実施を目標に、栽培ベンチに透明マルチを展張し、ハウスは55℃まで締め切りにしました。

真夏の炎天下にハウス内を締め切る事は、ハウス内にある機器類、パイプ類の損傷を伴う事がある為、取り外せる機器類はハウスの外へ。また、直射が当たらないように寒冷紗を掛けるなど、十分に注意を払う必要があります。

イチゴ栽培において、もっとも厄介である炭疽病は50℃2時間で死滅すると言われています。(諸説あり)

太陽熱消毒は温度管理に注意を要しますが、薬剤を使わず、費用もマルチ代のみで済む、優れた消毒方法と言えます。

培地に温度計を挿し計測。こまめに温度チェックを実施。 培地に温度計を挿し計測。こまめに温度チェックを実施。

 

 

次号では、

10月は害虫の発生時期ですので、害虫対策について、クローズアップ致します。

 

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