農業を学ぶ旅
~農業を核に多角経営~ 福岡県 エイチアイ(株) 様
パイプハウスを活用した大規模軟弱野菜の周年栽培と新鮮野菜で6次産業を確立した福岡県エイチアイ株式会社
農業を学ぶ旅 終了レポート
2019年6月21日(金)開催しましたモデル農場見学会の様子をお伝えします。
農場概要
エイチアイ株式会社(農場NO.2019-01)
代表取締役社長:稲吉 久徳氏
場所:福岡県久留米市
ハウス面積:合計2.4ha(北野エリア/35棟12,000㎡、朝倉エリア/48棟12,000㎡)
従業員:【農業部門】社員4名、国外研修生6名、パート8名 【飲食部門】社員3名、パート10名
農業を核に多角経営
エイチアイ株式会社の稲吉さんは、パイプハウスを活用した大規模軟弱野菜の周年栽培を核に、自家栽培の野菜や地元の新鮮野菜を提供するレストランを経営。高品質の新鮮野菜で「生産」×「加工」×「販売」の多角経営に短期間で成功されています。
また、野菜の袋詰め作業で障がい者支援施設を活用するなど、全国でも数少ない新たな取り組みにも果敢に挑戦。営農を核に、人と人をつなぎ、地域をけん引する農家さんとして注目されています。
圃場 ~手間を惜しまず、美味しくて、安心・安全な野菜作りを追求~
野菜の安全性とコストを考慮し、農薬を出来る限り削減。ハウスには、防虫ネットとサイドと妻面に設置。また圃場ごとに肥料成分など毎作測り、常に最適な土となるよう研究。有機肥料+竹の粉を配合するなど、安全性と美味しさの追求している。
圃場を2つのエリアに分散しリスク回避。北野圃場が浸水した際には、朝倉圃場でカバーした。
潅水はキリコに加えて、補完としてナイアガラを設置。複合的な潅水方法によって、ムラの少ない潅水が可能になる。
【北野圃場】
6?7回転で水菜を栽培、春に、1作ほうれん草を作付けし、連作障害を予防し、減農薬を目指している。
夏は30?40日で収穫、冬は50?60日。
【朝倉圃場】
6?7回転で小松菜のみ栽培(出荷量 約300ケース/日)、来年度は8回転を目標としている。
【路地栽培】
夏はエダマメとホワイトコーン、冬場はほうれん草を2作栽培。
直営店 ~レストランは、消費者の声を直接聞くことができる貴重な場所~
CROSS~農家の食卓~
ランチはミズナを中心に、「稲吉さん家の水菜と香月さん家のパクチー」など15種類のサラダが食べ放題となる。
この店は二年前にオープンした。この店で使う食材は、店から車で15分ほどの自社農園で毎朝収穫したミズナやコマツナを中心に、JAみい青年部の先輩などから仕入れた野菜も使っている。
店は10年ほど日本料理店で修業した方にお願いしている。一年半ほど前に入社した方で店長を任せている。ランチタイムだけでなく、夜は居酒屋として営業し、県内外からのお客でにぎわっている。
飲食店を始めた理由について、稲吉さんは大学生の頃から経営者になりたいとずっと考えていて、やりたいことはどうしてやりたい、一度きりの人生後悔はしたくないという強い思いからであった。
事業目的と今後の事業展開
【障がい者施設との連携・協力】
単に利益を追い求めるのではなく、人を活かす場所を作る事が重要だと考えている。今、進めているのは障がい者施設の活用で、地域の就労継続支援B型事業所である一般社団法人やすらぎ会とも連携している。やすらぎ会は、高齢者や高齢者を含めた心身障害者に働く機会をつくっている。コンビニで商品を陳列したり、農業法人でカボチャの生産に携わっている施設で、エイチアイでも野菜の袋詰め作業をお願いしている。人手不足で悩み多い農業業界で、作業をしてもらって非常に助かっている。施設の方々もわいわいと楽しみながら仕事をしてもらい、また家族のみなさんからも感謝してもらっており、ウィンウィンの関係が作れていると実感している。
【スポーツ選手と農業のマッチング】
また、今後進めていきたいと考えているのはスポーツと農業のマッチングである。日本ではトップレベルの選手でも、実業団や企業のチームに属していないと続けていくのは非常に難しい環境である。一方農業業界は人手不足に悩まされており、その中で今後どのようにして人手を集めるか、が重要なポイントとなっている。そこで双方のニーズをマッチングし、農家は選手が試合に出られる環境を作る、稽古以外の時間は農業の働き手になってもらう、といった取り組みを進めている。
【海外研修生の採用と海外進出】
労働力の確保として、海外研修生も積極的に採用しているが、研修生制度は3年経過した時点で2年間延長するか、帰国するかを選択する必要がある。その時の選択肢に帰国しても一緒に働ける環境を作りたいと考えており、将来的には海外への農業進出も視野に入れている。研修生には日本で快適に過ごせる環境を提供し、ベトナムへ研修生が帰国する際に現地の農場で就農するといった場を与えてあげたいと思っている。
このように、人と人とが繋がり、農業界と地域をどんどん活性化させていきたいと考えている。
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