極めるコラム

【羽生農場】 定植前準備~定植後の管理について(イチゴ)

こんにちは、げんき農場羽生です。

暑かった夏も終わり、処暑に入って少し涼しくなってくる時期となりました。

げんき農場羽生では、9月13日より順次定植を迎え、今季シーズンがスタートしました。

定植に合わせまして、今月の営農通信では、苗や定植準備・方法、

また定植後の管理についてポイントについて紹介します。

 

定植に適した苗の5つのポイント

①病害虫の発生はないか・・・農薬散布や葉かきを徹底的に行い、繁茂させず風通しを良くする

②根張りは十分か・・・・・・過灌水にならないように、午後は灌水を控え適度に乾燥させる

③生育は十分か・・・・・・・クラウン径を基準にすると8mm~10mm程度が理想のサイズ育苗期間は最低でも60日程が望ましい

④葉の色は悪くないか・・・・窒素中断を行っている場合は、花芽分化が確認出来たら速やかに施肥を再開する

⑤葉の枚数は十分か・・・・・定植時に4枚ほどの葉枚数を残し、初期成育を安定させる

 

 

定植準備

①培地の充填と整形

培地は高設ベンチの中央に向かって山型になるように整形します。

こうすることで、苗を斜めに植えやすくなり、果柄の枝折れ被害を軽減できます。

また、灌水した水が培地全体に行き渡りやすくなります。

 

②定植は短い日数で終わらせる

定植日が異なると、生育に差が出てしまい、その後の管理が難しくなります。

そのため、労力にもよりますが、段取りをよくし、

ハウスごとの定植作業はできるだけ短い期間で終わるようにしましょう。

 

③定植株と本圃培地を十分に湿らせる

定植株を十分に湿らせて置かないと、ポットからの取り外しがスムーズにできないことに加え、

乾燥により根がダメージを受けてしまいます。

また、本圃の培地も全体に水が行き渡るように灌水します。

水を溜めることのできるベンチの場合、1/3~半分程度水をためた状態にしておくことで、

定植作業中の水不足を防ぐことができます。

 

④培地の穴あけと粒剤混和

培地にはあらかじめ苗と同じサイズの穴を開けておきます。

高設栽培ではベンチの端にクラウンや果柄が接触することで果柄折れの原因となるため、

クラウンがベンチ端から5cmくらいになるように穴を開けます。

開けた穴にはモスピラン粒剤などの土壌混和粒剤(農薬)を混和します。

モスピラン粒剤は有効成分が植物に吸収されハダニ等を抑制する効果があります。

また、ミツバチ・マルハナバチに影響が少ないため、

イチゴだけでなく、トマトにも活用することもできます。

・ 定植穴へのモスピラン粒剤の混和

 

定植方法

①定植の向きに注意する

花芽は、苗に元々付いていたランナーの反対側に発生する傾向にあるため、

ランナーの尻尾を後ろ側にして斜めに定植します。

花房を伸ばしたい方向に傾けて植えることで、

傾けた方向に花房を誘導でき収穫や管理が行いやすくなります。

  

 

②深植え、浅植えに注意する

植え付けるときは、クラウン(根元の茎にあたる膨らんだところ)が土に埋まらないよう、

必ず地上に出して植えます。深植えになると、地ぎわが湿りやすく、病気の発症リスクがあります。

また、浅植えをすると株がぐらつき、根の活着が悪くなり、定植初期の生育不良の原因にもなります。

また、定植穴をあける際は、株と培土の間に空間が生じないようにするために、

定植穴はできるだけ株のサイズに合ったもので開けます。

空洞があると根の伸長に影響を及ぼし、初期成育が悪くなる原因になります。

・培地穴あけ後の様子

 

・定植前培地に穴を空けている様子

 

定植後から根の活着までの管理

①定植後

定植後は、7〜10日ほど培地を十分に湿らせた状態を維持します。

根がしっかりと活着していない状態で肥料を与えると苗にストレスがかかるため、

肥料は与えず水のみの灌水を行います。

朝方、葉水が上がっていると根が十分に吸水をし、活着しているサインです。

・葉水が上がっている様子

 

②活着後

活着後は給水量を少しずつ減らしていくと同時に、施肥も開始します。

施肥濃度は原水のEC値にもよりますが、EC0.3~0.5程度から慣らしていきます。

灌水頻度は日の出の30分〜1時間後に最初の灌水を行い、少量多回数灌水で管理を行います。

午後はできるだけ灌水は避け、培地を適度に乾燥させることで、

根の発根を促したり、根腐れを防止することができます。

 

■まとめ

げんき農場羽生では、今年の7月から挿し苗などの育苗作業を本格的にはじめました。

本圃定植時に病害虫を持ち込まないようにするために、こまめな葉かきや防除を行い

今年の苗は大きな病気が発生することなく、定植を迎えることができました。

定植準備期間で、どれだけ良い苗が作れるかが勝負です。

今回取り上げました、定植に適正な苗の状態や、定植後の根の発根促進や根腐れ防止のための

灌水管理をご参考いただき、皆さまのイチゴ栽培のお役に立てれば幸いです。

 

 

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