農業を学ぶ旅

10月6日 4haの大規模植物工場による周年イチゴ栽培技術・生産販売を通じて新産業を創出する北海道の苫東ファーム㈱を見学

2017.6.19 苫東ファーム改良-001

農業を学ぶ旅 終了レポート

 

2017年10月6日(金)に開催しましたモデル農場見学会の様子をお伝えいたします。

 

農場概要

  • 苫東ファーム株式会社 (農場No.2017-02)
  • 代表取締役:櫛田 安良氏
  • 場所:北海道苫小牧市
  • 圃場面積:合計4.0ha (内、ハウス4.0ha)
  • 2haの大規模ハウス2棟で業務用イチゴを周年栽培する苫東ファーム様、周年栽培を可能にする高度な環境制御設備、季節ごとの作型に対応した品種選定、そしてその栽培技術及び地域資源エネルギー利用による脱石油型の環境と調和した農業ビジネスを学びました。
  • 作業人員:パート38名

 

 

苫東ファーム 全景

いちご栽培 圃場地域資源エネルギー利用施設

 

 

見学会の様子

次世代施設園芸北海道拠点について

平成26年に20,000㎡、平成28年に20,000㎡を建設、合計40,000㎡もの面積で経営する苫東ファーム様。次世代施設園芸北海道拠点として農場設計が行われました。北海道拠点に苫小牧が選ばれたのには理由があり

①高台で平らな土地に恵まれ大型施設の形成が用意

②冷涼気候であり冷房コストが安価

③自然災害のリスクが低い

④空港や港が近く、交通網の要である

⑤北海道の中でも日射量が多い

⑥積雪が少ない

等が選定の理由となっています。この北海道拠点の目的として、化石燃料を使わないと言う目標があり、実際に液化炭酸ガス、電気及び木質チップボイラー等を利用し地域環境と調和した農業ビジネスを推進しています。

 

 

地域環境と調和した苫東ファーム

 

 

いちごの周年栽培

 いちごを一年中収穫するため、冬季の一季なり品種を8~9月にかけて定植、12月から収穫開始し、6月末まで収穫します。四季成り品種については2月末~3月にかけて定植、翌年の2月ごろまで収穫することで一年中いちごを切らすことなく出荷、出荷し続ける事で出荷先との一定価格での販売、周年を通しての出荷取り決めを可能にしています。主な出荷先は道内の洋菓子店、結婚式場、ホテルなどで、洋菓子協会、農協と協力しながら販売を行っています。

苫東4

 

鮮度保持の為の管理

 収穫後のイチゴは圃場内ですぐに移動式の保冷庫(5℃前後)に入れられ鮮度を保持させています。それにより日持ち、品質共に最良の状態で出荷することが出来るように工夫されています。この保冷庫に入れたまま圃場からそのまま選果場へ運ばれ、自動重量選別機により重さでサイズ別に分け、最終的には人の目で色や、形を見ながら3つの品質に分け選別を行っています。また、この選果場は温度を低く設定されています。20℃弱(18~19℃程)で冷房し、イチゴの鮮度を落とさないように取組んでいます。

移動式の保冷庫

 

 

高機能温室、高設ベンチを利用した栽培管理

 軒高3.6mの屋根型ハウスを利用し中はとても広々とした空間になっており、統合環境制御により環境を制御しています。統合環境制御により管理されるのは換気、カーテン、暖房、循環扇、電照、CO2、細霧冷房、灌水をそれぞれ統合的に管理しています。この圃場は稼動して3年目ですが、データの積み上げが大事であると考えており、今までの栽培データ(温湿度、CO2濃度、日射量、飽差、収穫量)を細かく記録し、そのデータを検証しながら栽培管理に活かしています。

統合環境制御装置

講演会『大規模植物工場におけるイチゴ生産』

講演会は株式会社苫東ファーム様の研修室をお借りし実施しました。生産部の岩崎部長より苫東ファームについて講演して頂き、その後の質疑応答では参加者の方と有意義な情報交換を行いました

苫東ファームにおける事業の目的・目指すもの

次世代施設園芸北海道拠点の活動としての目的は大規模植物工場クラスターの形成による農業生産力の強化と新産業を創出する事で、北海道の大地で大幅な収量増加を達成し、市場要望に応じた美味しいイチゴの通年供給体制を確立し、日本が世界に誇る工業技術、省エネ技術、ICT技術を活かした施設園芸を確立することです。また高度施設園芸の普及拡大と新たな担い手の育成に貢献することを目的としています。

 

 

苫東6

 

 

参加者の皆様からのお言葉

30代男性

 新規参入としていちごを栽培している中で現在定植が終わり、今期始まって間もない中で見学させて頂き今後の展望などがより鮮明に見えました。今回の圃場をみてハウス内のデータ管理の重要性を強く感じました。自分の圃場にもハウス内状況が分かるようにセンサー等を導入し、データを蓄積、検討することでより良い作物を栽培できる様に頑張っていきたいと思います。

20代男性

農場設計段階で「この地域ならこのぐらいの温度、と想定して進めたが実際栽培してみると思っていた以上に温暖だった」とのお話を頂いた中で、やはりこれからは環境の変化はめまぐるしく、今までと同じような栽培管理や感覚では無く、その場所の気象条件や地域環境をしっかりと把握し、今後も見据えた事業の方向性、農場設計をして行くことが大切であると改めて実感致しました。

20代男性

このぐらいの施設、設備になると最初の農場設計の際のコンセプトや方向性、地域状況をしっかりと分析し、設計する事がとても大切だと感じました。いろいろな農場のノウハウを分析し、その土地の気候条件や地域条件にしっかりとあった計画や提案の大切さを感じることができ、大変勉強になる一日でした。

20代女性

 農産物の物流を担当しており、農産物の生産から流通までの流れに興味がありました。この農場では収穫からの鮮度保持に力を入れており、コールドチェーンの大切さをより実感しました。現場で手間隙を掛け生産した農産物をお客様の口まで、しっかりと鮮度を維持した物流、店舗管理を行わないといけないと改めて強く感じました。

当日のスケジュール

 

 

スケジュール

 

 

見学会の様子

 

苫東7

 

 

 

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