極めるコラム
【八街農場】次作にむけての準備(ミニトマト)
こんにちは。げんき農場 八街農場です。
八街農場では年1作長期採り栽培でミニトマトを栽培しております。
いよいよラストスパートに入りましたが、皆様の圃場はいかがでしょうか。
今回の営農通信では、栽培終了後、次作に向けての準備についてお話しさせて頂きます。
病害虫を持ち越さない
栽培を行っていると様々な病害虫に見舞われます。
私たちの圃場では害虫はコナジラミ類、ハモグリバエなどの発生が見られます。
また病害では、うどんこ病、葉かび病、灰色カビ病などの発生があります。
そのため、1年に一回の作の切り替えの際は、次作に病害虫を持ち越さないよう
しっかりリセットする事を心がけています。
1.徹底した残渣処分
病害虫の栄養源は、植物に含まれる炭素や窒素であり、宿主である植物がないと基本的には増殖できません。
そのため、ハウス内には僅かな残渣も残さない事が大切です。
また、一旦持ち出した作物残渣から再びハウスに戻ってくることがないよう、
ハウスからできるだけ離れた場所に処分するようにしましょう。
ハウスから離れた場所での処分が難しい場合は、晴れた日に透明ビニールを掛け、蒸しこみを行います。
ビニール内の温度を50℃以上に上げ、数時間~数日放置(害虫の種類によって異なります)することで、
害虫を死滅させることができます。
とはいえ、この時期は雨や曇りの日が多いので、早めに準備を行い、晴れの日に備えることが重要です。
2.ハウス内周囲の除草
ハウス内を片づけた際、残渣除去が完了した安心感から見落としがちなのが、ハウスの隅に生えた草。
病害虫の逃げ場になりますし、次作に持ち越す原因になります。
また同様に、ハウス周辺の雑草も害虫の逃げ場になりますので、ハウス周辺の除草を行うことも大切です。
写真:ハウスの内外のちょっとした隙間に雑草は生えます
3.太陽熱の有効活用
梅雨明け後、晴天が続く日にハウスを締め切りにして、蒸しこみ殺菌を行います。
八街農場では培地に水を十分に含ませた後、透明ビニールをかけ、換気を締め切りにし、
培地内温度を50度以上に上昇させた状態で2日間放置する予定です。
この際、注意すべき点としてハウス内の温度が上がりすぎると資材が傷むほか、
機器類が故障する可能性があることです。
特に配管などに使用されている塩ビ管などは曲がってしまうリスクがあります。
塩ビ管の耐熱温度が60℃と言われているので、熱消毒をする際は、
ハウス内温度が55℃以上にならないように心がけています。
4.資材の消毒
誘引で使っているクリップなどの誘引資材はこのタイミングで消毒を行いましょう。
お薦めは、次亜塩素酸ナトリウムです。
20リットルの箱入りの物がたっぷり使えて、濃度も高いので、消毒液を作るのには最適です。
菌の多くは、0.02%の次亜塩素酸ナトリウムに浸けることで死滅します。
次亜塩素酸ナトリウムの原液の濃度が12%の場合、600倍程度に薄めて、
数時間、浸け置きすることで、ピシウム菌やリゾクトニア菌の殺菌が行えます。
ただし、次亜塩素酸ナトリウムは揮発しますので、段々と濃度が下がりますので、
当農場では約400倍(0.03%)で作成し、利用するようにしています。
刺激が強いので直接触らないようにゴム手袋などで皮膚を保護し、風通しの良いところで使用して下さい。
写真:次亜塩素酸ナトリウムは食品添加物・殺菌料として市販されているものを使用しています
5.土壌還元消毒法
土耕栽培をされている方は、土壌還元消毒をお薦めします。
①米ぬかを10aあたり1t投入し、ロータリーを掛けます。
②圃場に大量の水をかけ、泥田状にします。
③透明フィルムをかけ、20日間ほど放置します。
放置している間、ドブのような匂いがしてきますが、これは微生物が米ぬかを分解する際に酸素を消費し尽くし、
酸素が無くなった証拠です。
酸素が無くなると、フザリウムなど土壌由来の病原菌だけでなく、センチュウを死滅させる効果があります。
げんき農場 八街の取り組み
6月に入り、お中元用トマトの発送が始まりました。
今年は箱も新調し、おしゃれな箱になりました。
この時期は皮が薄く、裂果も増えますので、品質管理が非常にデリケートです。
今後は梅雨時期の劣果の少ない品種を選定する必要を感じています。
写真:げんき農場のトマトを是非ご賞味ください
次回は、「栽培が始まる前にやっておきたい防除計画の作成」についてお話しさせて頂きます。