極めるコラム

【八街農場】4月の灌水・施肥管理(ミニトマト)

こんにちは。げんき農場 八街農場です。

4月は、急速に葉枚数が増え、日平均気温が上昇する為、

開花から収穫までの日数が短くなる事から、飛躍的に収穫量も増大します。

作業遅れ、病害虫対策も当然、重要になりますが、温度変化も大きい時期でもあるので、

日々の観察の中で、必要な管理が適切に行われる事がポイントになります。

 

1.灌水不足に注意

 

4月中旬以降は晴天の日は温度も上昇し、ハウス内が乾燥気味になります。

この時、過剰に蒸散される為、根からの水分吸収も活発になります。

冬場は地温が低く、日の出すぐの灌水はなかなか吸収されないという事もありますが、

4月中旬以降は養分吸収が活性化する15℃以上に朝から到達しやすい為、

日の出後、30分ごろから灌水を開始してよいと思います。

また、一度に大量の水を与えるよりも、少量多灌水をお勧めします。

複数品種が入っている圃場では、やはり水分要求量の多い品種を基準に灌水量を決める必要があります。

系統分けが出来ている場合は、その系統の中での要求量の多い品種を基準とします。

自動潅水で灌水チューブを利用している場合は、

栽培ベッド(もしくは畝)の手前と奥の灌水量の差についても、しっかり観察する事が重要です。

灌水チューブの長さが30m以上ある圃場は特に注意をするようにして下さい。

 

 

2.施肥不足に注意

 

葉の展開速度も速くなりますので、当然ながら窒素分が必要となります。

養液栽培で自動管理ができる場合は、冬の管理から徐々にEC値を上げてください。

参考までに、私どもの圃場ではEC1.6⇒2.0程度まで上昇させますが、

これはその時の樹勢や天候によっても異なるので、ご自身の圃場の樹勢など確認しながらEC値は検討してください。

養液コントロールではない圃場では、窒素肥料と合わせて、カリウム分の施肥も行って下さい。

カリウムは果実の結果に結び付くと同時に、作物内での物質交換にも利用されます。

一方で、リン酸については生育後半ではあまり必要ないとされていますので、

特に気にするポイントではないと考えます。

 

 

3.カルシウム不足に注意

 

この先の管理を含めての話になりますが、梅雨時期の尻腐れの原因はこの時期の管理から始まっています。

灌水不足に陥りやすいこの時期に、萎れを出したり、急激な灌水の間断をつけたりがあると、

根域にカルシウムが存在しているのに、吸えない状況になります。

また、曇天が続き蒸散量が低下すると、やはりカルシウムを吸収しない状況になります。

また、アンモニア態窒素の施肥量を増やすと、カルシウムの吸収が阻害されやすい事が知られています。

対策としては、GW前からのカルシウム剤の葉面散布です。

根からの吸収が悪い時は、手間ではありますが、上から吸収させることも検討して下さい。

写真1.カルシウム不足による尻ぐされ果

 

 

4.農薬散布の際は殺菌剤も忘れず

 

暖かくなって、灰色カビの発生が少なくなると、農薬散布の際、殺菌剤を入れない生産者さんを見かける時が有ります。

もちろん、全く出ていないのであれば、問題ありませんが、灰色カビは茎に入るだけではありません。

ベテランの生産者の方には説明するまでもないことですが、ゴーストスポットで肥大するまで気が付かないケースもあります。

散布のタイミングで、害虫以外にどのような病気が出ているのか、今一度、圃場をじっくり観察してみるのも良いものです。

写真2.灰色カビ病に罹患した果実

おわりに

急激な温度変化で、植物の成長が急激に加速する時期ですので、管理遅れにならないよう、八街農場では、日々作業に追われています。

こんな時だからこそ、必要な管理を適切なタイミングで行っていくことが重要になってきます。

収量が増加し忙しくなりますが、植物の観察は怠らず、状況の把握するようにしましょう。

次回は、梅雨入り前の管理について取り上げます。

 

 

 

渡辺パイプのらくちん見積もりシステムで理想のハウスを作ってみよう! 渡辺パイプのらくちん見積もりシステムで理想のハウスを作ってみよう!