極めるコラム

【羽生農場】冬期の環境制御のポイント(イチゴ)

こんにちは。げんき農場羽生です。

イチゴの高値は3月までと言われ、その後は急激に価格が低下します。

その為、3月までの収量をいかに増やすかが、経営改善のポイントと言っても過言ではありません。

さて、12月に入り、本格的に環境制御を始められた生産者も多いかと思います。

環境制御を行う上での管理ポイント、データ解析時の改善ポイントを中心に今回はお届け致します。

 

12月の管理ポイント

 

午前中のハウス環境をどう整えるか

 早朝加温の実施

基本的な管理になりますが、日の出までにいかに温度を上げていくかが、非常に重要なポイントになります。

イチゴの光合成適温は20~25℃と言われており、ここから低温であるほど、光合成効率は低く、適温に近づくほど光合成効率は上がります。

この為、日の出とともに光合成を効率よく開始するには、日の出時刻に温度をある程度、上昇させておく必要があります。

結露させない温度コントロール

イチゴの株が夜温で冷えた状況で、ハウス内の温度を急激に上昇させると、温度差で冷たい株に結露が生じます。結露があると、蒸散を行う気孔が開きにくくなる他、収穫作業にも支障が生じます。また灰色カビ病の発生リスクも高まります。

この為、げんき農場羽生では、3:00から1時間ごとに1~1.5℃刻みで温度上昇させさせています。夜間は8℃での温度管理ですが、朝7:00の段階で14.5℃を確保しています。

 

 

 

 

グラフから見えてくる改善ポイント

 

事例① 朝7時過ぎより温度低下が見られる。

 

原因:保温カーテンが開く事により、上層部の冷たい空気が栽培環境下に降りてくる事で、ハウス内全体の温度が下がる。

 

対策:カーテンを段階的に開ける。最初は明け幅を小さく設定し、少しずつ上層の冷たい空気と馴染ませる。その後は、少しずつ開度を大きくしていき、最終的に全開にする。

 

 

事例② 日の出後の急激な温度上昇

 

今回の事例では8:30ごろから急激に温度上昇し、9:30までの1時間で4℃の温度上昇が認められる。急激な温度変化により、気孔が閉じやすくなり、蒸散が減少する。

 

原因:急激な日射量の増大により、ハウス内温度が上昇。換気装置が作動する温度まで冷やされる事が無く、温度が急激に上がる。

 

対策:換気温度を小刻みに設定する。また、開度も小刻みに設定し、より細かい換気を実施する。

 

 

 

 

事例③ 急激な湿度の低下

 9:10頃から急激に湿度が低下し、10:00頃までの約50分で、湿度74%から44%まで低下。

 

原因:温度上昇により、天窓が全開になり、ハウス内の溜まっていた水蒸気が急激に放出される事で、急激に湿度が低下。

 

対策:天窓換気幅を小刻みに設定し、時間をかけて全開にします。また、サイド換気を併用する事で湿度コントロールが楽になります。ただ、冬期は横風も強く、サイドからの吹き込みには要注意です。

 

 

環境改善の為に 

げんき農場羽生では、2週間に1回の頻度で環境設定会議を実施しています。

グラフを見て、問題点を見つけ出し、改善アプローチを実施する事が、収量、品質の向上に繋がりますので、是非、グラフは定期的に見る癖をつけて下さい。

 

 

 

 

11月トピック

 

収穫が始まりました

11/13より、かおり野の収穫が始まり、続いて11/14より、よつぼし、11/23より、紅ほっぺの収穫を開始しました。

定植日が昨年とほぼ変わらないのですが、昨年に比べて収穫開始が1週間ほど早くなっており、要因としては、8月下旬から低温曇天が続いた事により、昨年よりも早く花芽分化が開始されたと見ております。

今後の課題としては、需要の高まるクリスマス時期に端境期が来ないよう、試行錯誤ではありますが、温度管理と樹勢管理を徹底したいと考えています。

 

 

次回は、

「春に向けての樹勢維持対策」についてお届けします。

 

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