極めるコラム
【八街農場】冬期に向けた環境制御方法(ミニトマト)
こんにちは、げんき農場八街です。
11月に入り、千葉でも冷え込む日が増えました。私どもも、例年よりも早い寒気の到来で、慌てて冬支度を行っております。
今回は、晩秋における環境制御設定を中心にお届けします。
11月の管理ポイント
環境データの活用と早朝加温
図1 10月21日のウルトラネットでの環境データ
千葉県八街市では寒気の到来が早く、10/21の7時の段階で外気温が8℃になりました。
ハウス内は前日の日中に温まった空気を抱えている為、大きく温度は下がっていませんが、ハウス内は12℃をキープしたいため、さっそく暖房機の設定を行いました。
その際に実施した暖房温度の設定のポイントを紹介します。
暖房機の設定
①日の出からの光合成を意識した温度管理
②結露させない管理
③急激な温度変化、湿度変化をさせない設定
先ずは自分の圃場の温度変化を知る所から始める必要があります。
トマトでは、夜間12℃前後をキープさせる必要がありますが、その上で、日の出時刻で何℃になっているかを知る必要があります。
トマトの光合成適温は25℃から28℃という事を念頭におきつつ、日の出時刻に何度まで上げるかですが、急激な温度変化は結露の原因になる為、上昇させる温度は1時間当たり1.5~2.0℃くらいが目安になります。
さらに暖房機の設定可能な段数から、日の出までに温度変化をつける事のできる回数を出します。
参考程度に捉えて頂きたいのですが、例えば、4段変温の場合、1段は通常の12℃で設定し、残りの3段を早朝加温に利用。4時に13.5℃、5時に15℃、6時に16.5℃設定にする事で、12℃一定の管理よりも+4.5℃で日の出を迎える事が出来ます。
10月トピック
疫病の発生
八街農場では結露に気を遣っていましたが、疫病が発生してしまいました。
原因は、雨センサーの不具合で天窓から雨が吹き込んでしまったことでした。
写真1 葉に発生した疫病
葉は淡く溶けるようになり、茎や葉柄など硬い部分は黒変します。
写真2 果実に発生した疫病
黒変や褐変し、萎縮したようになります。
疫病とは
多湿条件で発症しやすく、湿潤性の灰緑色の病斑を生じ、しだいに拡大して暗褐色の大型病斑になります。葉や果実への発症が多く、低温では茎にも発生しやすく、致命傷になることもあります。
分生胞子は風雨によって飛散し、水滴の中で発芽し、菌糸によって、気孔から葉に侵入します。
疫病菌の発育条件は24℃前後ですが、高温よりも低温での発病が多く、晩秋の雨、梅雨の低温の際には注意が必要です。
対応策
八街農場では黒変部はさわらないようにして、罹病部を可能な限り摘み取りました。
その次に殺菌剤として塩基性硫酸銅の散布を実施しました。銅剤というとあまり良いイメージを持たれないかもしれませんが、有機JAS栽培でも利用されている安全性の高い農薬です。
写真3 散布してしばらくは農薬のあとが残る事も。
銅剤の注意点は汚れが付きやすい事。また、連用は皮や葉が固くなる事もあり、過剰な場合は食味にも影響がでます。また、他の農薬との混用する事で、薬害(葉焼けのような症状)を生じやすい事も挙げられます。
反省点
栽培前の機器点検の必要性を改めて考えさせられました。1年に1回は屋根に登って確認するべきと反省しました。
「毎年使っているから」「いつも通り動いているから」という事ではなく、高品質高収量を実現するために、機器の点検を是非行って下さい。
次号は、
初冬の換気術について、書きたいと思います。
渡辺パイプのらくちん見積もりシステムで理想のハウスを作ってみよう!