極めるコラム

【渡辺パイプの営農通信】(いちご)羽生編 Vol.1

2月の取り組み

① 曇天時の温度管理

げんき農場羽生では、イチゴの栽培を通じて社員への栽培技術教育も実施しています。その中で、「日射量の少ない曇天時は光合成量も少ないから、温度とCO2濃度を上げてもあまり意味がないのでは?」という話が出てきました。

2月ですので、曇天時にはハウス内温度は日中でも12℃近くまで下がります。さて、どう判断するか。

2月15日 天候:雨

結論から言うと、暖房を用いてハウス内温度を18℃まで上げる事にしました。低温ではCO2の濃度があまり下がらなかったのですが、18℃くらいまで温めるとCO2濃度が下がる事が確認できました。要するに温度を上げるとその分、気孔からCO2を取り込んでいるという事になります。また、暖房を用いることで除湿効果も期待できそうです。

1月に比べ日射も強くなり始める時期、曇天時でもイチゴの光合成に必要な光はある程度確保できているようです。

② 施肥

1月に比べると葉っぱの展開速度が速くなる時期です。品種にもよりますが、通常イチゴの葉っぱの展開速度は積算150℃と言われています。日平均が15℃なら10日で1枚。この展開速度が徐々に速くなります。

さて、この時に心配なのが養分不足です。養液栽培では適切に肥料を与えているのですが、実際には個体差や根の展開量の違いなどから、欠乏症を起こす株があります。

1月での対策ですが、窒素量で0.2g/株、遅効性100日タイプを施用しました。培地温が上がりきらない時期の為、遅効性の肥料でじんわりと。

当圃場では、「もう少し樹勢が強くてもよいのかな」というのが正直な所ですので、来年のこの時期はもう少し早いタイミングで、もう少し多めが良いのかなと思っております。

3月の管理の注意点

日射量も増え、温度上昇が大きく、今までと比べ物にならないほどのスピードで生育する時期なので、管理遅れに注意するのは勿論ですが、病害虫にも注意が必要です。

① ハダニは勿論ですがアザミウマ類の発生にも注意が必要

ハダニはハウス内で越年する事もあるので、生産者の皆様も注意されているかと思います。しかしそれ以外に、暖かくなり、春の強風と共に吹き込んでくるのがアザミウマ類。

当圃場では、風上の換気を出来るだけ少なくする管理を行う他、粘着テープの展張を行う予定です。

② 軟化玉対策

暖かくなると、果実が柔らかくなり、日持ちが悪くなる。収穫時に皮がむけるといった事が生じます。

これに対して、ケイ酸資材を利用する予定です。1週間に1回、1000倍希釈して、給液時と同時に与えます。使いすぎると、えぐみが出るという話も聞きますので、どの程度与えるのが適当なのか、この点も注意深く観察し、来月には発信できればと考えています。