極めるコラム

【渡辺パイプの営農通信】(トマト)八街編 Vol.1

げんき農場八街の栽培状況

  • 2月の取り組み

暖房機を使用する時期はカーテンを開けるタイミングで迷いませんか?

げんき農場八街では2層カーテンですが、1層は日の出の少し後のタイミングで開けます。もう1層は・・・

①光を少しでも多く取り入れたいので2層目も同時に開ける

②光は大切だけど温度も大切、1時間ずらして開ける

③光は少々犠牲にして急激なカーテン上部の空気が温かくなるまで開けない

 

げんき農場八街では長らく②を行っていました。

しかし、今回は③を試してみました。

光合成速度を比較した際に8時にカーテンを開けた場合は速度が急落しました。対して9時に開けた場合は急落が確認されませんでした。

下記は、その時の環境の変化をウルトラネットでモニタリングしたデータです。

8時にカーテンを開けた際の環境データ

温度の急落は確認できませんでした。

この結果から考察すると

  1. ウルトラエースの温度センサーは群落内の植物体の中頃の高さにセットしているので、環境データ上、問題なく見えても成長点付近はカーテンが開いた際に低温にさらされていてストレスから気孔を閉じた。⇒光合成速度の低下
  2. 光合成速度の算出は複合的なため一時的な炭酸ガスや湿度の急変によりグラフが急落したようにみえる⇒実際の光合成速度は低下していない可能性
  3. いずれにしても急落後15~30分で光合成速度は回復している⇒光合成以外の要因でカーテンを開けるタイミングを決めたほうが良い可能性(燃料コストや収穫等の作業性、生殖成長と栄養成長のバランスなど)

今後の取り組みとしては、

1.環境データを測定記録できるウルトラエースMを導入して、成長点付近の温度もチェックしていきます。

2.実際のCO2濃度の変化と光合成量のグラフを重ねて分析を続けていきます。

 

※2層目のカーテンの被覆材は遮光率15%のものを使用しています。

 

実験・お役立ち情報

今作は生物農薬を使用して灰色カビ病や葉カビ病が防げるか試験をしています。

例年、葉先枯れや摘葉の後から灰色カビ病が入ってしまうケースが多かったのですが今年は非常に少ないです。

※灰色カビ病に罹患した葉

 

今回使用したのはバチルス・ズブチリス。

灰色カビが蔓延する前の秋口から定期的に散布することが肝心なようです。効果として先に葉面に住み着き、他の菌が定着するのを防ぐそうです。(菌の拮抗作用)

実際の使用パターンは散布できる場所に7日ほどの間隔、噴霧圧を高めて1列おきに散布しました。

化学農薬と違いカウントされないので途中で中止しても問題ありません。

11月中旬の散布を最後に殺菌剤は現在まで使用しておりません。即効性や治療効果はありませんが、予防効果は抜群です。

※バチルス菌の散布により葉先枯れに灰色カビが増殖しない